考えるゴーレム

122 出会い

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我はゴーレムなり。

そうだ。そうなのだよ。我はゴーレムだ。
一人で歩いてたら、魔物と間違われることがあるのだった。忘れてた。

ゴーレムメモリーにはそんなささいな問題は残していないから仕方ない。

{選択:小さな人魚、女王の揺れるおっぱい、世界の地図、人魚の国からの旅立ち、ゴーレムの落下跡、イチロウとジロウとのハイタッチ、執事のパワセクハラ、飛び立つ竜王、光の女王、メイドの空回り、イチャコとバカ王子、ヤマタノオオドラゴーン、ヒカルの見せ場(倒せてない)、襲い来るモジャオ、うなだれるおっさん、悪魔と天使(オカンと娘)、キャモメとジスポの友情、ちょびひげの隠し芸、魔剣の女は泣き上戸、さらば迷宮都市、激闘! 蟲忌ン愚将軍、がんばる風の精霊達、執事のパワセクハラVer2、見送る老人と老婆、帰還する召喚者たち、やり遂げた兵士達、バニーガール!!、女王と国民、おっさんの涙、でっかいサソリ、しゃべった、世界樹!?、真っ暗、石橋、サイン中のハイエルフ、世紀末な天界、不死族が死んだ・・・・・・、治ったハク、イチロウとジロウとのハイタッチ(再)、これはタテガミなのかカツラなのか、パンダパンダパンダパンダのどれを読み込みますか?}

ほらね。我は魔物なんて、メモリーはない。
しかたない。重要でないことや、普段使わないことは忘れてしまうのはしかたない。

我は気を取り直して、【姿隠し】を発動させつつ、道なりに進む。

 

◇◆◇◆◇

 

道の先には小さな町があった。
ここで、磨き布を手に入れることができるだろうか。
姿を見せられないから、ちょっとハードルが高いかもしれない。
しかし、我ならできる。多分。

まずはこの町の中を見て回ろうか。

 

◇◆◇◆◇

 

町っていうか、村みたいな感じかな。
我は一通り村の中を歩いた後、村で1つだけあった商店の前で休むことにした。
ちょっと悪いけど、商店の軒下にあった木箱の上に腰掛けて村の中を眺めている。

考えるゴーレム

この村には冒険者ギルドの看板が掲げられた建物もなかった。

冒険者ギルドでちょっとした依頼をこなして、磨き布をゲットしようと思っていたのに。
我の完璧な計画がいきなり破綻した。

現実とはままならぬものだ。

はてさて、どうしようかな、磨き布は欲しい。
ブラシでもいい。

我は座っていた木箱の上に、立ち上がり、こっそりと商店の中をのぞき見ることにした。
あっ、窓が高いので見えない。我は覗き込むのは止めて、大人しく商店の中に入った。

 

◇◆◇◆◇

 

店主はいるが、【姿隠し】中の我を見ることはできぬようだ。
心のきれいな者じゃないとダメだから当然だね。

うーん、ちょうどいいブラシがない。
布はある。手に取れないから、長さはわからないけど、この布は見た目の質感はなかなか良いのではないか? おいくらなのだろう。値札がないから値段がわからない。銅貨7枚で買えるかな。

買い物に来ている者もいないし、ダメだな。
金額がわからぬ以上、銅貨7枚を置いて、布をもっていくことはできない。

布を得るためには、適切な、もしくは、適切以上のお金を払わねばならぬのだ。
我のゴーレムアイで鑑定したところ、この布の価格は銅貨15枚ほどだ。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

残念だがここでこの布を買うのは諦めるしかない。

 

◇◆◇◆◇

 

我がはぁ、とため息を吐きつつ、とぼとぼと村の中を歩いていると、村の入り口の方が騒がしくなった。
何事だと思い、我も村の入り口に向かう。

そこには先ほど道沿いに止まっていた馬車が止まっていた。
周りの者の会話をこっそり聞いていたところ、どうやら車輪の一つが壊れていたから止まっていたのだそうだ。

そして、銀色の不思議な人形のような魔物がいたので注意するようにと村人達に話している。

まったく、不審者扱いだ。
これじゃおちおち人前に姿も現すことも出来ない。

馬車に乗っていたのは領主一族の者のようだ。何かをするために領地内を回っているそうだが、パンダに関わり合いはないと思う。

パンダに関わり合いがないならば、我には用はない。
我はパンダを探さねばならぬ。

我は村の出口に移動し、そっと竹の杖を立てた。
またしても道沿いに竹の杖が倒れるのかと思ったら、何故か村の中へと向かって竹の杖が倒れたではないか。

竹を倒すゴーレム

なぜだ?
おじいさんの故郷はこの村の中にあるというのか?

まさか、パンダがこの村にいるとでも?
たしかに我は、この村で布は探したが、パンダは探していない。
笹っぽい植物もなかったから、ここは違うと判断した。

村に入る前にはたしかに道沿いに倒れた。
そして、村から出ようとしたら、村の中へと向かって倒れた。

はっ!?

まさか、あの馬車の中にパンダがいるのか!
領主一族というのが、もしかするとパンダなのかもしれない。

ここは異世界。
獣人だっている。パンダが領主であっても不思議ではない。
領主がパンダならば、当然領主一族もパンダに違いない。

前世の常識は、この世界の常識ではない。

うむ。
我はどうやらパンダに近づいている事は間違いない。

竹の杖を信じて、我は、もう少しこの村に滞在することにした。

 

◇◆◇◆◇

 

我は馬車を遠くから見る。

馬車の中からはまだパンダが出てこない。
パンダは馬車の中で泊まるのだろうか。

小さな村だから、領主一族のパンダが泊まれるような建物がないのかもしれない。

はー、あの中にパンダがいるのかと思うとソワソワする。
こっそり忍び込んでみようか。

いや、警戒させてはダメだ。
やはりここは出てくるのを待とう。

我はじっと馬車を見つめる。
見張るゴーレム
 

◇◆◇◆◇

 

夜が明けた。

おかしい。あの馬車からは誰も出てこない。
いや、そもそも、あの馬車の周りには誰もいない。
そういえば、護衛の者達もいないじゃないか。

パンダを放っておいて護衛がどこかにいくことなどあろうか、いや、ない。

まさか!?

我は焦りを覚え、馬車に近づく。
馬車の扉を少しだけあけて、中を覗き込む。

な、なんだと!?

パンダはおろか、誰もいない。
いつの間にかパンダが消えている。

パンダはどこに消えたのだ!?

 

◇◆◇◆◇

 

領主一族のパンダを探さねば。
こんなことなら、何をするために領主一族がこの村に来たのかきちんと聞いておけば良かった。

我は領主一族のパンダを探す。

我がゴーレムアイは千里を見通す。キリッ。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

村の中を歩いた。
村人の話をこっそり聞いたところ、あの馬車に乗ってきた領主一族は、この村の今年の収穫を確認しに来たそうだ。ちなみに村長の家に領主一族は泊まっていたらしい。

我は村長の家の中にこっそりと忍び込んだ。

いた! あの白と黒の後ろ姿。
パンダに間違いない!

ようやくパンダを見つけることが出来た!
やった! 我はやったぞ!

{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}

これで我はゴーレムアイを使いこなせる。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

ふふ、あれが領主一族のパンダなのだろう。

朝食を終えたところなのだろうか、食卓の周りに護衛が立っている。
我はパンダの正面に回り込む。後ろ姿はパンダだが、前から見ると違うと言うこともあり得るからな。

パンダが驚いた様子で我を見る。
我も唖然としてパンダを見る。

これは、パンダじゃない。
パンダの着ぐるみだ。

道理で我がゴーレムアイをマスターしましたという世界の声が聞こえないはずだ。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

着ぐるみパンダではダメだ。
生パンダじゃないと。

「ねぇ、あなたたち、あれがあなたたちが昨日話していた銀色の人形かしら?」

着ぐるみパンダが我を指さしながら護衛の者に質問をした。
まさか、この着ぐるみパンダは我の姿が見えているのか?

護衛の者は首を傾げつつ、「何もおりませんが」と着ぐるみパンダに応えている。

「・・・・・・そう。わかったわ、気にしないで」

着ぐるみパンダは食後のお茶を飲みつつ、我をじっと見てくる。
我は着ぐるみパンダに手を振る。

着ぐるみパンダは少し驚きながらも微笑んだ。
着ぐるみパンダも我に向かって手を振ってくる。

手を振るゴーレム

まちがいない。

この着ぐるみパンダは我の姿が見えている。
さすがは着ぐるみパンダ。心がきれいなのだろう。

着ぐるみパンダがいるということは、それを作る元になったパンダをこの着ぐるみパンダは知っているに違いない。

我は着ぐるみパンダが一人になるまでじっと待つことにした。

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