叫ぶゴーレム

137 ティーロードを目指して

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我はゴーレムなり。

ジャスと名乗った男からもらった地図を確認しつつ、茶の道、ティーロードを目指して歩いている。

我は立ち止まり地図を見る。この今歩いている大きい道が、地図のこの道でしょ。うむ、ばっちりだ。間違いない。この道なりに進めば大丈夫そうだ。我は地図を頼りに一歩一歩ティーロードに近づいていった。

 

◇◆◇◆◇

 

さすが、茶の道、ティーロード。人が多くなっている。我は【姿隠し】を発動しているから、誰にも見つかっていない。ふっふっふ、何という隠密性。メタルゴーレムではなく、ステルスゴーレムと名乗っても良いかもしれない。

我もティーロードを歩く人々に混じって歩く。
我の疲れを知らぬ颯爽とした歩みは、どんどんと人々を抜いていく。
意気揚々と歩いていると、後ろから来た馬車に抜かれた。

……。くっ、負けてられぬ。

我はわふー! と、早足で進み出した。

 

◇◆◇◆◇

 

馬車を何とか追い越して、抜き去ったぜという思いを胸に抱いていると、岩山が遠くに見えてきた。
どうやら、岩山を削って道を作ったようだ。

しかし、妙だ。

岩山のふもとに人だかりがある。

なんだ?
有名人でもいるのだろうか?

我が疑問に思いつつ歩いて近づくと、道の混み具合が半端ない。
ちょ、ちょっとごめんよ。我は人々の間をすっすっとぬって道の先に進んだ。

おぉ、どうやら、岩崩れがあったみたいで、大きな岩が道をふさいでいるぞ。

我は岩をじっと見る。

この岩くらいならば、我は登れるんじゃなかろうか?

我は、岩の側面をガッと掴み、登っていく。うむ、問題ない。
我はするすると大きな岩の天辺まで登った。両手を上げて、うぉおおおと大きく叫ぶが、声は出ない。

岩の上を歩いて反対まで行くと、反対でも人だかりだ。
ここはすでにティーロードなのだろう。ここが大岩でふさがれていると困る者がたくさんいるのだ。

我は、また、岩の上を歩き、登ってきた方の下側を見る。お年寄りもいるし、子供もいるようだ。

何とか、大きな岩を壊そうとしている者もいるが、その程度の攻撃ではこの岩は壊れぬだろう。
我は首を左右に振り、肩をすくめる。仕方ないな。

我は、人を大きな岩から遠ざけるため、大きな岩の上側を少しだけ、削って、石を何個か落とした。すると、下側では、「うわ、石が落ちてきたぞ!?」と、大きな岩をなんとかしようとしていた人々が少し距離をとった。

うむ、計画通り。我は反対側でも同じことをして、人々を大きな岩から距離をとらせた。

そして、大きな岩の真上で大きな岩を丸ごと消せるだけの大きなラインライトを発生させる。
我は、勢いよくラインライトを我ごと大きな岩にチュドンと落とした。

!!?

大きな岩がなくなったから、我も地面に落ちていく。
そして、地面がラインライトで深く掘られているぞ!?

ぎゃーっと思いながら、我は穴の底に激突した。

身体は痛くないけれど、心が痛い。イタタタタと思いながら、穴の底から、空を見上げる。

青空がきれいだね。

我は、穴の底に手を突いて、【復元】を発動する。地面が復元されていく。
フッフッフ。これで、復元していけば、穴はふさがれ、我も地上に戻れる。完璧だ!

我の【復元】によって穴があっというまにふさがった。
我はやりきったと、額の汗をぬぐう。ゴーレムだから汗はかかないけれど。

人々がなんか唖然とした様子でこちらを見ている。けれど、我の姿は【姿隠し】で見えないから、穴がふさがったことに驚いているのだろう。

我はそのままティーロードを先に進む。
なぜならば、パンダが我を呼んでいるからだ!

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