ラインライト

143 精霊達との協力

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 我はゴーレムなり。

 日の出かなという時間帯に、ラインライトを暗雲の下辺りに細く長く発生させる。

 なんか、じょじょに黒い雲の範囲が拡がっている気がする。
 暇だから端から端まで走って確かめた。
 毎日ちょっとずつ端から端まで行くのにかかる時間が長くなっている気がする。

 おっと、余計な事を考えていたらダメだ。
 我は、ラインライトを少し太くして、光量を増やす。

 ふぅ。この微妙な調整。
 さすがラインライトマスターの我。

 しばらくしてラインライトを太くして日中の光量にしたら、とりあえずは我の自由時間だ。

 黒い雲の端を確認しつつ、パンダを探そう。

 我はないわーポーチからノートを取り出して、メモをする。

<パンダ、未だ見つからず>

 おっし!
 今日も一日パンダ探しだ!

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 我が黒い雲の端の方でパンダを探していると、黒い雲の外は夕暮れになっていることに気付いた。

 まずい。

 ラインライトを細くして光量を絞らないと。

 我は徐々にラインライトを細くする。

 そして日が沈むのに合わせて、ラインライトを消した。
 うむ、完璧じゃないか。

 我はパンダを探しつつ、村に帰った。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 それから、何日か同じような事をして過ごしたが、黒い雲は一向になくならない。
 この曇って何なのだろうか。

 我は疑問に思って、黒い雲を見る。

 ゴーレムアイで黒い雲を見る。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

 やはり、黒い雲にしか見えない。
 雨が降ってくるわけでもないし、よくわからない。

 我は首を傾げながら黒い雲を見つめた。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 このままではダメだ。

 我はラインライトを発生させつつ、考える。
 たまに雨は降るけれど、黒い雲は相変わらず、そこにある。
 少しずつ黒い雲の範囲は拡がるばかりだ。

 我のラインライトで日暮れを再現している光景を見て、我は首を左右に振る。

 このままではダメだ。
 どうにかせねば。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 我のラインライトでは、日の出や夕暮れを完璧に再現できない。
 現状に満足していてはダメだ。
 常に改良して、よりよくしていかないと。

 やはり、日の出や夕暮れは赤くなって欲しい。

 我は精霊達に協力を頼むことにした。

 精霊達に手伝ってもらえば、我のラインライトの色は変わるのだ。
 ラインライトのカラーチェンジだ。

 我だけでは無理でも、精霊達と一緒なら乗り越えられる。
 少年漫画の王道だ!

 我は、精霊達になんとか思いを伝え、協力を取り付けた。
 今日の夕暮れから、ラインライトでも夕暮れを再現だ!

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 我の目の前にたくさんの精霊達が集まった。
 あれ、水の精霊や、風の精霊もいるけれど、彼らではラインライトの色が青や緑に変わるのではなかろうか。

 まぁ、いいや。
 試してみて、違うようなら、その時に考えればいい。

 我は精霊達に頷く。
 精霊達も我に向かって頷き返した。
 精霊達はラインライトに向かって飛んでいく。

「いこー」
「しゅっぱーつ」
「ごー」
「はーい」
「いくのです〜」
「……」

 端の方から徐々に色を変えないといけないから、ちょっと移動が大変だな。
 我は精霊達の飛んでいった端の方を見る。

 うむ、夕暮れの再現は君たちにかかっているぞ!

 我はそわそわしつつ、空を見上げる。
 ラインライトにひしっと精霊がくっついたのだろう。
 ラインライトの色が変わった!

 やった!
 成功だ!

 我は精霊達の協力のおかげでラインライトで夕暮れを再現できたのだ!
 一人では無理でも精霊となら、再現できる事が証明できた。

 我はキンキンと両手を叩きながら空を見上げる。
 これで黒い雲があっても、大丈夫だ。

 我はこうして夕暮れの再現に成功した。
 ラインライトを消し終わり、戻ってきた精霊達と我は成功を喜び合った。

『……な、なんなのよ。あの精霊の数……』

 むっ、木の枝に登ってた女の人には精霊達が見えているらしい。
 あの者は、心がきれいなようだ。
 ……我が見えているのだから、もともときれいなのか。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 翌日も我は精霊達に協力を頼み、朝焼けを再現する。

 ただ精霊達は朝は弱いのか、昨日の夕暮れの時ほど数が集まらない。
 来ている精霊も少し眠そうに見える。

 大丈夫か、朝焼けの再現はできるのか。

 我が精霊に頷く。
 精霊達は、ゆっくりと我に頷き返す。

「いくよぉ」
「「お、おぅ」」
「……」

 精霊達はゆっくりと空に上がり、ラインライトにぴたりとくっついたのだろう。
 ラインライトが赤くなった。

 ちょっと心配したが、大丈夫だったようだ。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 朝焼けと夕焼けの再現に成功して、何日か経った。
 なんと黒い雲に動きがあった。

 黒い雲が渦を巻くようにゆっくりと動き出したのだ。

 何が起ころうというのだろうか。
 とりあえず、ラインライトは維持しておこう。

 我は一旦パンダ探しを中断し、村に帰る。
 村人達はあまり気付いていないみたいだ。

 ラインライトを維持しているから、空の様子はあまり気にして無いのかもしれない。

 我はいったん大きな樹の近くに行く。

 大きな樹の近くでは女の人が空を見上げていた。
 よかった、ようやく空の異変に気付いた人がいた。

 我も女の人の横に行って、空を見上げる。

 女の人は空を見上げたまま呟いた。

『始まってしまった』

 我は首を傾げる。

『暗雲が一つに集まり、邪悪なる者が誕生してしまう』

 我は首を傾げる。
 あれってただの黒い雲じゃないの?
 たしかにずっとあっておかしいなとは思っていたけど。

 黒い雲が一つになるのがまずいのか?

 我は女の人と渦巻く黒い雲を交互に見た。
 黒い雲がまずいなら、ラインライトを混ぜてみる?

 黒い雲とラインライトを混ぜたら、白くなるんじゃなかろうか。

 我は黒い雲が渦巻き、1つに集まろうしているところに、渦巻く流れに逆らわないようにラインライトも混ぜてみた。

 ジュワってなって黒い雲が白くなるどころか消えてしまった。
 まずい……。失敗した。
 白くならなかった。

{ログ:ゴーレムは暗黒ガス生命体の群れに200のダメージを与えた}
{ログ:暗黒ガス生命体の群れは息絶えた}

 !?
 黒い雲は黒い雲じゃないのか!?

『えっ!?』

 隣の女の人も驚いている。
 よかった驚いているのは我だけじゃない。

 あれ?
 でもあれって雲じゃないなら、ラインライトで消しといた方が良いのだろうか。
 精霊達も朝焼けや夕焼けの再現に徐々に飽き始めているから、黒い雲はない方がいい。

 おし、じゃあ、消しとこ。

 我は黒い雲の下に維持していたラインライトを全て黒い雲にぶつけていく。

{ログ:ゴーレムは暗黒ガス生命体の群れに200のダメージを与えた}
{ログ:暗黒ガス生命体の群れは息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒ガス生命体の群れに200のダメージを与えた}
{ログ:暗黒ガス生命体の群れは息絶えた}
 …………
 ……
 …………
{ログ:ゴーレムは暗黒ガス生命体の群れに200のダメージを与えた}
{ログ:暗黒ガス生命体の群れは息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒ガス生命体の群れに200のダメージを与えた}
{ログ:暗黒ガス生命体の群れは息絶えた}

 うむ、ほとんど消えた。
 後は黒い雲の中心のところだけだ。
 ラインライトを中心に集める。
 黒い雲の中心はラインライトによって跡形もなく消え去った。

{ログ:ゴーレムは暗黒王ブラックキウーギョに500のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒王ブラックキウーギョは息絶えた}
{ログ:ゴーレムはLv50に上がった}

 あっ、久しぶりにレベルがあがった。
 我ってゴーレムだし、もしかしてレベル50が最大かもしれない。
 ステータスを見て、レベルの横に★マークがついてたらどうしよう。

『うそ、消えた? 倒したというの?』
 女の人が空を見上げて呆然としている。
 だが、そんなことよりも我がカンストしたかどうかの方が重要だ。
 念の為、我はステータスを開いてみた。

 ーー

 名前 ゴーレム
 種族 メタルゴーレム
 Lv 50

 ステータス
 最大HP:578
 最大MP:551
 攻撃力:255(+0)
 防御力:255(+0)
 素早さ:213
 頭 脳:209
 運  :255

 スキル
 【ステータス固定】【復元】【覚醒】【悪あがき】【非接触】【バカになる】【暴れる】【水泳】【遠吠え】【通訳】【祈り】【ラインライト】【大虐殺】【姿隠し】【ブレス】【バリア】【救済】【角生】【下克上】【光合成】【精霊のささやき】【悪魔化】【万物崩壊】【残忍】【発毛】【脱毛】

 称号
 【変わらぬモノ】【悟りしモノ】【諦めぬモノ】【愛でるモノ】【煽りしモノ】【海竜のオヤブン】【人魚のトモダチ】【犬のトモダチ】【声のトモダチ】【死者のトモダチ】【屠りしモノ】【精霊のトモダチ】【竜のトモダチ】【女王の守護者】【信仰されしモノ】【鬼のトモダチ】【王殺し】【植物のトモダチ】【エルフのトモダチ】【天使殺し】【神殺し】【紂せしモノ】【救いしモノ】【磨きしモノ】
 ーー

 よかった。★印はついてない。多分、我はまだカンストしていないみたいだ。

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