ラインライト・改

146 ラインライト・改

投稿者:

 我はゴーレムなり。

 パンダを救うために心を一つにした我と騎士や兵士、冒険者たち。
 パンダを救うために我らは一団となって進む。

 ただ彼らに戦いを任せるのは心許ない。
 パンダを見る前に生命を落とすようなことをがあってはならないのだ。

 我は一団の先頭に立って戦闘にのぞむ。
 ふふふ。先頭で戦闘ってうまいこと言っちゃったな、我。ふふふ。

 我がゴーレムアイにかかれば、魔物がどこにいようと捕捉するのはたやすいのだ。

{ログ:ゴーレムアイというスキルはありません}

 我は頭上にちょっと大きなラインライトや普通のラインライトを等間隔で発生させた。
 そして、周囲に精霊達に集まってもらい、我は一つ頷いた。
 精霊達も頷き返す。精霊達はラインライトにぴたっとくっつく。

 我は暗雲の下で朝日や夕日を再現するために精霊達と協力した時に気付いた。
 我のラインライトの進行方向を精霊達に任せられるということに!

 ちょっと大きなラインライトには、ちょっと大きな精霊達がそれぞれくっつく。
 彼らには隊長を任せている。普通のラインライトを操る精霊達への指示や、ちょっと手強そうな魔物には彼らの操るラインライトをぶつけてもらうようにした。

 精霊達が協力してくれれば、どれほどの距離であろうと敵にラインライトを命中させることができる。
 精霊達の属性の色に変わったラインライトが次々と発進していく。

「しゅっぱつー!」
「ごー」

{ログ:ゴーレムは暗黒の魔獣の群れに平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の魔獣の群れは息絶えた}

 うむ。精霊達が進行方向を操るラインライトは問題なく魔物達を倒していく。
 ちょっと強そうな魔物がいたら隊長が操るちょっと大きなラインライトが発進していくのだ。

「あいつは私が行くわ! 3番から6番も私についてきなさい!」
「「「「「あいあいさー!」」」」」

 あれ、隊長の操るちょっと大きなラインライトに普通のラインライトが5本ついていった。
 3番から6番だよね? 4本じゃないの? 5本行ったよ?
 ま、まぁ、いいか。大した問題じゃない。

{ログ:ゴーレムは闇の帝王アンガリに800のダメージを与えた}
{ログ:闇の帝王アンガリは息絶えた}

 我は出発して行ったラインライトの場所にすぐさまラインライトを発生させる。
 精霊達はたくさん集まってくれているのですぐにラインライトには別の精霊達がくっついてくれる。

 ふっふっふ。
 精霊達の協力によって我がラインライトにホーミング機能がついてしまった。
 これはもうラインライト・改と言ってもいいのではなかろうか。
 我は我が恐ろしい。

 こんな素晴らしい事を考えつくなんて我ってマジですごくない!

{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}

 いかんいかん。
 自画自賛をしている場合ではない。

 我はラインライトを常に発生させて、後は精霊達にお任せだ。
 今度、何かお礼をした方が良いかもしれない。
 一緒にパンダと会うことはお礼になるだろうか?
 うむ、パンダと会えたらうれしいからお礼になるだろう。

{ログ:ゴーレムは暗黒の兵士達に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の兵士達は息絶えた}

 我が精霊達へのお礼について考えていると後ろをついてくる騎士の隊長が声をかけてきた。

「地蔵様」

 我はゴーレムだから、地蔵じゃないんだけど。
 我はないわーポーチからノートを取り出し、以前書いていたページを見せる。

<我はゴーレムなり>

「えっ、地蔵様はゴーレムの地蔵様ということですか?」

 騎士の隊長が首を傾げて我を見る。我もどうすれば伝わるのかと首を傾げる。
 まぁ、いいか。大した問題はない。
 我は騎士の隊長に続きを促した。

「地蔵様の倒された魔物達はどうすればいいでしょうか?」

 我は辺りを見ると確かに魔物達の死体がたくさんある。
 ……。
 片付けた方が良いのだろうか?
 そりゃ、ゴミだから片付けた方がいいよね。
 ラインライトで全部消し去ればいいのかな?

「お許しいただけるのであれば、魔物達を我らや冒険者で解体しますので、素材の一部を我らがいただきたいのですが」

 なんと、皆で後片付けをしてくれるというのか、一部と言わずに全部持っていってくれていいのだけど。我のないわーポーチには、魔物の素材なんて入らないし、持ってても使い道はないし。

 我はないわーポーチからペンを取り出して、ノートに返事を書く。

<我には不要。全部好きにして>

 我の返事を見た騎士の隊長は驚いた様子で我を見てくる。
 まずい。後始末を全部押しつけたのは、まずかったかもしれぬ。

「魔物の素材を我らに全てゆずっていただけるので?」

 ?
 どうやら、怒っていないようだ。
 むしろ感動しているように見えるのは我の気のせいだろうか? いや、気のせいではない。
 我は動揺を悟られぬようにうむと頷く。

{ログ:ゴーレムは暗黒の騎兵隊に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の騎兵隊は息絶えた}

 騎士の隊長はその場に膝をついて頭を下げた。

「ありがとうございます。地蔵様の厚意をありがたくちょうだいしたいと思います」

 全部押しつけたけれど、なぜか感謝された。多分、魔物の素材は役に立つのだろう。我はいらないけど。
 我は魔物を片付けなくてよいし、皆は喜ぶし、うむ。Win-Winでよいと思う。

「大物が出てきたわね。皆、一斉に行くわよ」
「「「「「「あいあいさー」」」」」」

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×5のダメージを与えた}

「俺たちも続くぞ」
「「「「「「「おー」」」」」」

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×6のダメージを与えた}

「なかなか骨がある敵だね。僕らも行っておこう」
「「「「「「「「「やぁー」」」」」」」」」

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×9のダメージを与えた}

 我と騎士の隊長が話し合っている間も精霊達はラインライトで魔物に攻撃してくれている。
 精霊の隊長達も含めて何回も突撃して行っているけれど、強い敵でも出たのだろうか?

 我が魔物の本拠地の方に目をやると城の前にデカイ魔物が現れていた。
 どうやら、あのデカイ魔物に精霊達は攻撃しているらしい。
 しかし、倒し切れていない。

 我も大きなラインライトを一発ぶち込むべきだろうか。
 我は次々と突き進んでいくラインライトと精霊達を見て首を横に振る。

 違う。

 我が今すべきことは大きなラインライトをぶち込むことではない。
 精霊達を信じてちょっと大きなラインライトや普通のラインライトを作り続けることだ。
 一撃一撃が小さくても、確実にダメージを与えている。

 うむ。
 我は頷き、精霊達にラインライトを作り続ける。

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×100のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の兵士達に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の兵士達は息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の魔獣の群れに平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の魔獣の群れは息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×100のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の騎兵隊に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の騎兵隊は息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×200のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の魔獣の群れに平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の魔獣の群れは息絶えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×300のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の魔獣の群れに平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の魔獣の群れは息絶えた}

 なかなか倒れないな。あのデカイ魔物。それに普通の魔物も数が多い。
 我が魔物達を見ていると、我の横にいた騎士の隊長が呆然と呟いた。

「なんという数だ」

 我はちらりと騎士の隊長を見て、頷く。
 たしかに倒しても倒しても敵が現れる。
 それに、あのデカイ魔物はなかなか倒れない。

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×400のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の魔獣の大群に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の魔獣の大群は息絶えた}

「数の暴力……」

 我は青ざめている騎士の隊長を見て、うむと頷く。
 あれだけの数の魔物に襲われてはひとたまりもないだろう。
 数が多いということは、それだけで脅威だ。

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×600のダメージを与えた}
{ログ:ゴーレムは暗黒の軍隊に平均150のダメージを与えた}
{ログ:暗黒の軍隊は息絶えた}

 騎士の隊長には安心してもらいたい。
 相手が数で来るのなら、こちらも数で対抗すればいいだけだ。
 精霊達の協力によって、こちらも数で対抗できる!

{ログ:ゴーレムは暗黒神獣ガルーガーに100×1000のダメージを与えた}
{ログ:暗黒神獣ガルーガーは息絶えた}
{ログ:ゴーレムはLv51に上がった}

 あっ、倒した!
 やった! やったよ! 精霊達!
 我が頭上を見上げると精霊達が集まって勝ちどきを上げている。

「「「「我々の勝利だ」」」」
「「「「「「「「「「「「「おおー」」」」」」」」」」」」」」」」」
(おぉおおおおおお!)

 我も精霊達と一緒になって両手を握りしめ突き上げる。
 これで後は魔物の本拠地の城へと乗り込むだけだ!

<前へ 目次 次へ>