相談書

ぬすっと物語22 相談

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 おいらは部屋から出て、廊下の隅を歩く。

 んん?

 あれは何だろ。
 四角い箱が置いてある。
 その横には机だ。

 あっ、人が来た。

 机の前で立ち止まって何かを書き始めた。
 書き終わったのかな、紙を二つに折って、四角い箱に入れると去っていった。

 おいらは四角い箱に近づく。
 <相談箱>と書かれている。
 ……。
 ?

 相談箱? なんじゃらほい?

 おいらは机の上に登ってみる。
 相談書と書かれた紙がある。あと、鉛筆もある。

 正面の壁には、相談書と書かれた紙がたくさん貼られている。
 おいらは一枚一枚読んでみた。

<相談書>
「最近、お腹のまわりにお肉がついてきました。どうすればいいでしょうか。(40代 男性)」
「答 食べ過ぎに注意し、よく運動をしてください。継続することが大切です。」

 おいらはふむふむと頷き、おなかをむにっとつまんだ。
 お肉がついてるのは普通じゃないの。

<相談書>
「毎朝早く起きるのが辛いです。(18歳 女性)」
「答 早く寝ましょう。」

 おいらはいつも寝てるから大丈夫!
 でも、銀色でちょっと慣れるまでは大変。

<相談書>
「気になる人がいるのですが、上手く声がかけられず遠くから見ていることしかできません。どうすればいいでしょう?(25歳 男性)」
「答 まずは挨拶から始めてみてはどうでしょう」

 ? どういうこと?

<相談書>
「遠くから毎日じっと見てくる男の人がいて怖いです。どうすればいいかわかりません。(40歳 女性)」
「答 毎日続くようであれば警備隊の人に相談してください」

 たしかに遠くからじっと見られるだけは怖い。

 これはどうやら、不安や悩みを書いて相談箱に入れると返事がもらえるみたいだ。

 あっ!
 おいらは気がついた。

 おいらは、紙と鉛筆を手に取り、書き始める。

<相談書>
「せいなるけものはたべられますか?(ぬすっと)」

 おいらは2度読み返した。
 この相談書の回答でおいらが人に食べられてしまうかどうかがわかる。

 おいらは相談書を2つに追って、相談箱に入れた。
 おし、おいらの相談にどんな回答があるか毎日チェックしよう。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 おいらは厨房に行って、リンゴを3つ取り、銀貨を1枚置く。
 食料を確保したおいらは卵のところに帰った。

 おいらはころころと転がって卵の台のところまで行く。
 まだ人が多いから、卵には入ることができない。
 けれど、見えない状態で卵の台の影からこそっとお金をおなかの袋に入れていく。

 気付かれないように、こそっとお金を拾うのは中々難しい。
 たまに気付かれそうになる時は、おいらはぴたっと動きを止める。
 気付きそうになった人の視線が外れたときに、ささっとお金を拾っていく。

 お金を回収に来た人は隠れてやり過ごし、人が少なくなった頃を見計らって卵に帰った。

 よく動いておなかが空いていたおいら。
 リンゴを2つしゃりしゃりと食べる。

 1つがちょっとすっぱい気もしたけど、おなかがふくれたおいらは丸くなって寝た。

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