こんがり

ぬすっと物語24 こんがり

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 なんてこった。

 おいらは、厨房で愕然となった。

 リ、リンゴに……。

 おいらが銀貨と交換していたリンゴに注意書きが貼られてる。

〈リンゴを勝手に持っていかないこと〉

 これっておいらへのメッセージだ。
 多分。

 おいらはちゃんと銀色のお金を置いてたけど、もらっていくとは誰にも言ってないからだ。

 どうしよう。
 おいら、このままじゃリンゴが食べられないよ。

 !!

 わかった!
 勝手に持って行くからだめなんだったら、ちゃんと持って行くって伝えて持っていけばいいんだ!

 おいらはおなかの袋からペンを取り出す。
 注意書きの紙の空いているところにペンで書き加える。

「りんごを1、……2、……3こもらいます。ぎんのおかねを1つおいておきます。ぬすっと」

 うん。これでばっちりだ!
 おいらは安心して、カゴからリンゴを3つ取り、おなかの袋に入れ、銀色のお金をカゴの前に置いた。

 おいらは満足して、厨房を後にした。

 ◇ ◆ ◇

 おいらは中庭に移動する。木陰に座るとおなかの袋からリンゴを一つ取り出した。

 カプリとかじりつき、シャリシャリと食べる。
 うん、甘い。

 このリンゴは甘い!

 おいらはほんわかとした気持ちで、シャリシャリと食べきった。
 残りの二つはまた後で食べよ。

 おなかが膨れたら、この建物の探索だ。
 そろそろ建物の外にも行った方がいいかもしれないけれど、もう少しこの建物をの中を探索しないと。

 最近楽しくなってきた隠されたお金の回収を頑張ろう!

 ふんすと鼻から息を吐き、手を握りしめたら、行動開始だ。

 おいらは中庭を後にした。

 ◇ ◆ ◇

 おいらはゴーレムアイを発動させつつ、建物の中を歩いていく。
 怪しいところがないかをしっかりと確認していく。

 部屋の奥の奥とかの本棚の後ろや、棚を動かした下に隠された部屋がある。
 おいらのゴーレムアイなら簡単に見つけられる。

 あっ、ここにも入り口が隠されている部屋がある。
 おいらは入り口付近でうろうろする。扉できるかな。

 あっ、おいらが通れる小さな扉が出てきた。

 おいらは小さな扉を通って部屋の中に入る。
 きょろきょろと部屋の中を見回すとお金が積まれている。
 回収しないと!

 おいらはお金に向かって走り出そうとした。
 けど、怪しい光が見えたので立ち止まった。

 おいらはゴーレムアイで見るのを止める。
 すると怪しい光は消えた。

 おいらはまたゴーレムアイで見てみる。
 怪しい光が見える。

 ……。
 なんだろ? これ。

 ゴーレムアイは罠も見破る。
 もしかして、罠?

 おいらはおなかの袋から食べかけのオレンジ色の野菜を取りだした。

 ゴクリとつばを飲み込む。
 おいらはオレンジ色の野菜を怪しい光に向かって投げた。

 カッと光り、オレンジ色の野菜が光に包まれた。
 ころころとおいらの足下にオレンジ色の野菜が転がってくる。

 焦げ目がついてる。……こんがりだ。
 おいらはしゃがみ込み、焦げ目がついたオレンジ色の野菜を掴んだ。

 もしも気付かずにあの怪しい光に触れたら、おいらがこうなっていたのか。

 おいらは掴んだオレンジ色の野菜をじっと見つめる。

 おいらはおそるおそるかじってみた。

 もぐもぐ……。

 !!?
 おいらは目を見開く。

 もぐもぐ。

 もう一度おいらはオレンジ色の野菜にかじりつく。

 もぐもぐ!

 そのまま食べるより、おいしくなってる!
 だから、厨房で料理されてるんだ。

 おいらもなんとか厨房の料理を食べたい。

 オレンジ色の野菜を食べきると、もう一度怪しい光を見つめる。

 あの怪しい光にあたるとこんがりにされる。
 お金を回収するにはあの怪しい光に触れずにはいけない。

 ……。
 しかたない。

 おいらはお金の回収を諦めてその部屋をとぼとぼと後にした。

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