着地

ぬすっと物語27 収穫

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 卵の中で目覚める。

 くわぁあああと大きく口をあけてあくびをする。
 両手を上げて背伸びをしたら、ゴーレムアイで卵の外に人がいないことを確認した。

 おいらは卵の外に出ると中庭へと向かって駆け出す。

 リンゴの木。
 おいらのリンゴの木!

 たったたったった、と駆けだした。

 ◇ ◆ ◇

 おいらは中庭へと到着した。

 ……。

 あった。リンゴの木。

 夢じゃない。おいらのリンゴの木がちゃんとある。
 中庭の真ん中にどどーんとある!

 おいらはリンゴの木の周りをリンゴがなっていないか確認しながら歩く。

 ない。
 ない。
 リンゴがない。

 おいらはリンゴの木をよじよじとよじ登ってみる。

 ふっ、ほっ、と。
 なんとか登れた。

 おいらはリンゴの木の上でリンゴを探す。
 うーん、なってない。

 リンゴはすぐに出来ないのかな。

 おいらはリンゴの木に手を当てて、リンゴが食べたいと思いながら、トントンと叩く。

 おいらの手がきらきらと光った。
 リンゴの木がほんのりと光、枝の一つに光が集まっていく。

 おいらがその光を驚いてみていると緑のリンゴがなってきた。
 そのまま様子を見ると、緑のリンゴが赤くなっていく。

 ふぉおおおおおおお!

 リンゴがなった!

 おいらはむっふぅと鼻から息を吐き、うれしくてトントンとジャンプする!

 びたん!
 …………。

 おいらは顔を両手で覆い、身体をぴーんと伸ばす。
 むー。いたたたた。滑って落ちちゃった。

 おいらは顔をさすさすとなでて、上を見上げる。

 おいらの視線の先にはリンゴがある。
 あれはリンゴだよ!

 おいらのリンゴ!

 おいらはもう一度よじよじとリンゴの木に登る。

 慎重にリンゴに近づいていき、両手でしっかりとリンゴを掴んだ。

 やった。
 やったよ。おいらはリンゴを手に入れたよ。

 リンゴをもぎ取って、おいらはかぶりとかじる。

 もぐもぐ。おいしい!
 いつも以上においしい!
 もぎたてだからかな。

 おいらはそのまま、もぐもぐかぶりとリンゴを食べきった。

 おいらはおなかをさする。
 食べた食べた。

 なんか、おいらの内側から元気がわき上がってきてる気がする。
 これももぎたてリンゴのおかげかな。

 むっふぅ!
 おいらはやぁっと、リンゴの枝から飛び降りた。
 両足をそろえて、両手を広げてトンと地面に着地する。

 おいらは身体を動かし、両手をしゅっしゅと動かしてみる。
 右、左、右。
 いつもより、身体のキレが良いんじゃない。

 今なら。
 今なら、今なら、おいら、なんでもできそうな気がする。

 !!
 はっ、そうだ。

 あの罠があったお金も今なら回収できるんじゃない?

 ◇ ◆ ◇

 おいらは、お金の回収を諦めたあの部屋にやってきた。

 ゴーレムアイで見てみると怪しい光がやっぱり見える。

 いける? できるかな? 大丈夫かな?

 おいらはさっき食べたリンゴを思い出す。
 いける。できる。大丈夫!

 おいらは、びくびくしながらちょっとだけ、手を光に当てて、すぐに引っ込める。

 カッと光が降り注ぎ、おいらは光に包まれた。

 ぎゃー! こんがりされる!
 おいらはころころと転がる。

 おいらもあのオレンジ色の野菜みたいにこんがりにされるよ!

 あぁ、こんがりおいしくなっちゃうよ。

 ……。

 …………。

 ……あれ?

 光がおいらには降り注いでいるけれど、こんがりなってない。
 おいらの毛並みはもとのままだ。銀色でピカピカだ。

 おいらは光の中で立ち上がり、身体中を確かめる。

 光が降り注いでいるけれど、なんともない!

 あのリンゴのおかげかな?
 リンゴはすごい!

 (※注 メタルボディだからです)

 おいらは光の中をお金に近づく。
 光は徐々に細くなり、光が止んだ。

 むっふぅと鼻息を荒く吐き出して、おいらはお金に近寄る。

 おいらはおなかの袋を広げて、せっせとお金を入れていく。
 せっせ、せっせとおいらはお金の回収をがんばった。

 全部のお金をおなかの袋に入れ終えた。

 やった。
 おいらもやればできるんだ。

 帰るときも光がおいらに降り注いだけれど、リンゴを食べたおいらはへっちゃらだ。
 あの木のリンゴはすごいんだ!

 おいらは、るんるんとその部屋を後にした。

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