起きた

ぬすっと物語3 外の様子

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 おいらはピカピカの部屋の片隅で丸くなった。
 両手で目を覆うことでまぶしさを防ぐことができた。
 これでようやく眠ることができる。

 おいらは、すぐに眠りに落ちた。

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「な、なんてことだ!?」

 おいらは突然聞こえてきた大声にびっくりして目が覚めた。

 な、何事だ!

 おいらは三回転ほど前転をして起き上がる。
 スタイリッシュ起床でおいらは周囲の状況を調べる。

 部屋のなかには変化はない。
 ピカピカ銀色だけど、侵入者とかはいない。

 おいらは部屋の壁に耳をつけてみる。
 多分、外から聞こえてきたはずだ。

 ピトッと耳を部屋の壁につけると、銀色の壁が思ったより冷たくてヒヤッとなった。
 おいらはすぐに壁から離れた。

 おいらは耳をつける部分に手を当てて何度か擦る。
 うん、これで耳をつけてもヒヤッとしないしないぞ。

 おいらは壁に耳をつけながら、外の音に耳を傾ける。

「聖なる獣の卵が銀色になっている!」
「何が起こったんだ!?」
「昨日の鐘の音が関係あるのか?」
「卵は無事なのか?」

 聖なる獣の卵? 銀色?
 ひょっとして、おいらのいるここは卵の中なのか?
 卵の中にしては、床は平らだし、壁は垂直だ。普通のお部屋って感じなのだけど。
 どうなっているのだろう。

 おいらは壁に耳をつけたままさらに外の声に耳を傾ける。

「ちょっと卵に触れてみるんだ」
「昨日までとは違って金属っぽくなっていますね」
「色以外は何も変わっていないけれど、中身はどうなんだ?」
「割ることもできないから、わからないですね。ただしばらくはこのまま様子を見るしかないんじゃないでしょうか」
「そうか。鑑定ができる者を手配して、聖なる獣の卵がどうなっているか鑑定してみよう」
「わかりました。手配しておきます」

 ううむ。やはり、おいらのいるここは卵の中の気がする。
 おいらは壁から耳を離した。

 音だけじゃなく、外の様子を見ることができたらいいのに。

 そういえば、ゴーレムアイは全てを見通すんだっけ?
 おいらは試しにゴーレムアイとやらを使ってみた。

 な、なんてこった。

 見えた。
 銀色の壁をすり抜けて外の様子がはっきりと見える。
 おいらのほうを向いて取り囲んでいる人たちがいるよ。

 なんだこれ?

 おいらは目をごしごしと擦る。

 やっぱり、外の様子が見えてるよ。

 おいらがゴーレムアイをいったん終了させると外の様子は見えなくなった。

 おいらはまたゴーレムアイを使ってみる。

 やっぱり見えた。
 こちらを覗き込む人たちが見える。

 ゴーレムアイを終了させて、外を見ようとしても銀色の壁の先は見えない。
 ゴーレムアイを使うと見える。

 どうやら、ゴーレムアイと思うのが大切らしい。

 なんて不思議な目なんだ。おいらの目は。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 さて、おいらはノートとペンを再びおなかの袋から取り出した。

 さっき聞いたことを書いておこう。

 せいなるけもののたまご、ぎんいろ。
 きんぞくっぽい。
 おいらはたまごのなか?
 おいらはせいなるけもの?
 かんてい?

 おいらは聞いたことを書いたノートを持ち上げて見てみる。

 この内容から考えるに、おいらはケモノ?
 セイナルケモノらしい。
 たぶん、聖なる獣ってことだ。

 聖なる獣。

 そういわれるとそうかもしれない。

 おいらのどことなく気品あふれるやわらかな毛並み。
 しかも、その毛並みはぴかぴかの銀色。
 おいらが聖なる獣って言われても何もおかしくないよね!

 ほわー!
 おいらは聖なる獣みたいだ!

 おいらはうれしくなって部屋の中、いや、ここは卵の中と言った方がいいのだろうか、いや、どっちでもいいか。
 おいらは部屋の中をごろごろと転がった。

 がつんと部屋の壁に顔から勢いよくぶつかった。
 おいらは顔を押さえてぐぉおおおと悶える。

 ふぅ。痛かった、のか?
 うーん? あまり痛くなかった。

 おいらは壁際に座り、はっと思った。

 聖なる獣ってなにするの?

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