シスターエレノア

ぬすっと物語38 それぞれの反応

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ぬすっとがシスターエレメアや料理長のムギハトに出会う前、聖なる獣の卵の変化に関する会議の招集状が関係者達に届けられた。

聖なる獣の卵の変化、中庭に突如現れた巨大な木、突然回復した子供、相談書にあった不可思議な回答。
鐘の音が鳴り響いた後から起こり始めた不思議なことを話し合う必要があった。

 

<ガゼル老師の場合>

ガゼルは困っていた。

聖なる獣の卵を鑑定したところ、検定結果は空の卵と出る。
さらに詳しく表示すると、ぬすっとの住み家とも出る。

何度鑑定をしようとも結果は変わらぬ。

鑑定結果を伝えた者達からは、どういうことだと詰め寄られるが、どういうことかを教えて欲しいのはガゼルの方であった。

ぬすっと。
盗人ではなく、ぬすっと。

どういうことなのか。
考えてもわからない。
ガゼルにできることは鑑定することなのだから、そうなった原因まではわからない。

手元に届いた聖なる獣の卵に関する会議の招集状を見て、ため息を吐いた。

「どうすればいいんじゃ」

 

 

<冒険者ギルド ギルドマスター ジャスの場合>

ジャスは机の上に置いた聖なる獣の卵に関する会議の招集状を見つめた。

ジャスは思い出す。

銀色のゴーレムが冒険者ギルドに現れた時のことを。

神殿で聖なる獣の卵が銀色に変わった。
その時に現れた銀色のゴーレム。

何もかもがタイミングが良すぎた。
ゴーレムに卵の変化について質問をすると、あからさまに目をそらした。

あの様子を見れば誰でもわかる。

原因はゴーレムしかいない。

しかし、今はもうゴーレムはいない。

自身が知ることを伝えて理解してもらえるだろうか。

ジャスは静かに首を左右に振った。

 

 

<料理長ムギハトの場合>

食材が勝手になくなるなんて、まったく誰がつまみ食いをしているんだい。

この書き置きをしていったぬすっととやらが持って行ったんだろうけど、銀貨1枚。
リンゴやにんじんに銀貨一枚。

どう考えても多すぎる。

「まったく、お金の価値もわかってないのかね」

 

 

<シスターエレメアの場合>

エレメアはあれは幻だったのだろうかと首を傾げる。

聖なる獣の卵の掃除が終わり、広間から出る時に振り返ると、銀色の動物がこちらに手を振っていた。

驚いているといつの間にか銀色の動物の姿が消えていた。
卵に駆け寄ってみても、きれいな銀色の卵のままだ。

どこも割れてもいない。

◇ ◆ ◇

相談書に返事を書いてくれたぬすっとさんにお礼が言いたいと一組の男女が訪れた。

ぬすっとって誰のことかしら?
ぬすっとという者はいないことを伝えて、2人にはとりあえずは帰ってもらった。

そういえば、相談箱の中にぬすっとという人からの相談書も入っていた気がするわ。

 

 

<司祭の場合>

くそ!?

誰だ!? 私の金を盗んでいったヤツは!
どの隠し場所の金もきれいさっぱり持ち去られている!

不正をして貯めていた金だから、警備隊の者に調査を命じることもできない。

正規の金庫の方も金が盗まれているのかと思ったが、そちらは全く手がつけられていない。

腹立たしい!
腹立たしい!
腹立たしい!

罠も発動した形跡があるのに、犯人は捕らえることができなかった。

くそ!?
本当にどういうことだ。

こんな時に、聖なる獣の卵の変化についての会議だと。
まったく、腹立たしい。

招集状をぐちゃぐちゃに丸めてくずカゴに投げ込んだ。

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